兆候は微か 2
膝の上に乗せたエドワードが辛そうに吐息を漏らす。まだまだ先は長いというのに、もうグロッキーしたようにロイの胸元に縋る。
可愛いものだ、と思う。
結局、エドワードとの関係は濃厚に継続している。エルリック兄弟がイーストシティに戻って来るたび、色々と理由をこじつけ、ロイはエドワードを自宅に引きずり込み、決して健康的とは言えない真夜中の運動に精を出すこととなった。
「ま、まだ、やる気かよ……」
汗でぬめるロイの胸に、エドワードが頬を擦り付ける。
「どうした、もう痛くないだろう? それとも……」
と、ロイが人の悪い笑みを浮かべる。
「感じすぎてしまったのか」
「んな、わけ……っ」
全部言い終える前に、ロイは腰を突き上げてやった。エドワードが息を呑み、下腹部が収縮する。すでに二度達しているそこは、しかし、ロイの情欲を咥え込むたびに戦慄きながら締め付け、侵入者を喜ばせてしまう。
何度ぶち込んでやってもそのきつさを失わない淫靡さに、ロイは感嘆の声を漏らした。
「君のここは本当に正直だ。まだ離したくないと言っている」
「あ、明日、動けなかったら、あんたのせいだからな」
「もちろん、じーっくり面倒を見てあげるよ。一日君に付きっきりで」
にっこりと微笑まれ、エドワードは心底嫌そうな顔をした。いくら看病してくれるとは言っても、ロイだけは断りたい。反射神経が鈍っているのをいいことに、何をされるやら判らない。それは、初体験の時に充分思い知らされた。
「普通、病み上がりの者をレイプするかよ」
ぼそっと呟いた台詞に、ロイが軽く首を振る。
「強姦じゃない。同意の上だった」
はっきりとは拒絶しなかっただろう? と顔を覗きこまれ、エドワードは赤面した。確かに、明確な意思表示をしなかったお陰で、返す返すも後悔しきりの、現在の事態を招聘している。
「俺の意見を聞こうともしなかったくせに……」
「次の日、誘ったら君はちゃんと待ち合わせ場所に来てくれた。それは、暗に私との関係を肯定したということだ。嫌なら、断ることもできたんだよ、君は」
「断るつもりで行ったのに」
有無を言わせず、ロイはエドワードに自宅の鍵を渡し、そこで待っていなさい、と告げて出かけて行ってしまった。まさか、他人の家の鍵を持ったまま姿を晦ますこともできず、仕方なくエドワードは司令部の高級軍人用にと借り上げられたロイの自宅へ足を運ぶ羽目になり、後はなし崩しだった。
早い話、相手の陣地内、もしくは、縄張り内へと踏み入ってしまったエドワードの不手際だった。そこで何が起ころうと、全ては縄張りの主の権限において、意のままの情況が設定される。蜘蛛の巣にかかった蝶ように、逆らうことが許されないのである。
「さて、お喋りはこの辺で終わりだ」
そう囁くように耳元に吹き込むと、ロイは再びエドワードを快楽へ導くため、淫靡なばかりの接合部分を軽く突き上げてやりながら、円を描くように揺さぶってやった。
内部から捏ね繰り回される淫靡さに、エドワードは声を漏らした。
「んっ」
と、無意識に背を弓なりに仰け反らす。そのきれいな曲線に、ロイはしばらく見とれた。
フォロー編と銘打っておきながら、大したことが書けませんでした。どうもすみません。(T_T)
まぁ、ちゃんと二人は両思いになったということで勘弁して下さいませ☆